UT-6のゴミ箱

夢を叶えようと画策する凡人の日々を綴っています

裸の付き合い

私は高校時代3年間柔道をしていました、今日はその時お世話になった顧問の先生とサシでサウナに行きました。そこでのお話

熱気で覆われる中、柔らかな気の香りが漂うサウナで私はこう尋ねました。

私「先生が20のころ何してました?」

先「ずっと柔道だよ」

先生は推薦で超付くほどの強豪校で柔道をしていました

私「いいっすねえ羨ましいっす」

先「そうでもないよ、成人式も練習、30km走らされたわ」

そう言って思い出にふけるように笑いました

私「そうなんですか、じゃあ成人は...?」

先「行かなかったよ、一生に一度のだよ、一生に一度」

私「それ、断れなかったんですか?」

先「うん、レギュラー入りたかったもん」

先ほども述べましたが先生の母校は超強豪、故にレギュラー争いも熾烈を極めたもので、選手がそれに本気かどうかを見極めるためあえて成人式の日に年明けの練習開始を監督が設定したそうです。

私「でも、断った人もいたんですよね?」

先「いねえよ、みんな本気だから」

ゾッとしました、灼熱のサウナの中冷や汗をかいたのかと思うほどに。

そう思った次の瞬間先生はこう言いました

先「UT-6、大学生活スポーツばっかじゃなくて遊んだ方がいい」

先生は柔道が大好きです、同様に私もそうなのです、先生も私が柔道が好きだということは分かっているはず。

まさか先生がこんなことを言うわけ無いだろ、と思いましたが確実に先生はおっしゃっていました

口が開いたままの私を横目に先生はこう続けます

先「だって大学出たら40年間働かんといかんとぜ?バカやれるうちにバカやっとけ」

その通りです、人生最後のモラトリアム期間、就職すると責任やストレス、多種多様な外圧に圧迫されます。

話が横道に逸れますが先生が行ったバカというのは後輩の顔にテーピング丸々1つ巻きつけて放置、学生寮を全裸で爆走、公道を全裸で疾走。なんということだ、現代では考えられません笑かなりぶっ飛んでるでしょ?(当然先生が学生時代も考えられないことですが)

ですが私には羨ましくさえ感じます、そのバカってヤツが。ハッキリ言って私は本当に気の合う人がほぼいないんですよ大学に、つまりバカやる友人、遠慮なしでぶっ飛んだことを一緒にできる友人がいないんですよ。そう思うと先生の環境が非常に羨ましいです。これは私の持論ですが「堅牢な友情や結束は一緒に受けた理不尽や拘束時間の長さんに比例する」

これ、なかなかいいトコ突いてるって思いませんか?笑

思い返してみれば私の親友というのは皆、同じ部活で同じ練習をして同じ飯を食い同じ床で寝たヤツらです。苦楽を共にした仲間ってヤツですかね。

そう思い私はうつむきつつ溢れる汗をタオルで拭うと先生はこう言いました

先「まあ、色んな経験を詰めってことさ」

先「で、UT-6お前彼女いんの?」

なんでしょうね、コレ、いつ聞かれても心臓を素手で抉られるような辛さがありますよね。

私「いませんよ...」

先「そうか」

先生は少し笑い

先「太一ば見習え、あいつは女を取っ替え引っ替えやろ」

(太一(仮名)というのは私の一個上の柔道部の先輩、この方一言でいうととにかくモテる)

先「アイツ.......」

先生は太一先輩のことを思い出しながらこう続けました。

先「でもそれでいいんだよ、太一みたいで、色んな経験をしたほうがいい」

そう残しサウナを出て一緒に水風呂に浸かりに行きました

そしてしばらくしてサウナに戻り私はこう聞きしました。

私「先生が20代のうちにやっとけばよかったって思うことってありますか?」

先「旅行やな、さっきも言ったばってん色んな経験をした方がいい、俺は視野が狭いし見聞も無い、だから考えが硬くて頑固なんだよ、UT-6、お前は色んなものを見とけ。」

先生はこう言って己の視野の狭さや見聞の無さを嘆いていました。ただでさえ自分が思うカッコいい大人街道トップを突っ走る先生がこうおっしゃるのは驚きです。謙遜かな?と思いましたが、教え子の私に謙遜されるような方では無いので恐らく本気でそう思われていたのでしょう。

そしてしばらくして

先「暑か、水風呂浴入ってもう出よか」

私「うす!」

いつまで経っても抜けませんねこの返事笑

風呂屋を後にし先生の車に乗り込み出発と同時に「お願いします!」と私が威勢良く言うと先生は「うーい」と低い声で言いました、まるで高校の頃に戻ったような気がしてちょっと嬉しくて懐かしいような、その反面もう二度とあの時には戻れないという切なさが先生の車の助手席に座っていると込み上げて来ました。現役時代もの凄く座りたくなかった先生の車の助手席でこんなことを思うとは夢にも思っていませんでした。なんで座りたくなかったかって?なんか....わかるでしょ?恐いっていうか怒られそうって言うか....。

郷愁ってやつですかねこれが。

さあ、明日から大学の長い長い夏休みだ、なんかこのタイミングで先生にサウナ誘ってもらうってなんかメッセージ性あるなー!前もこういうのあったんですがね、ま、それは別の記事でお話しします。

よし、夏休み存分に経験積みまくっちゃーけんな!覚悟しとけ!!