UT-6のゴミ箱

夢を叶えようと画策する凡人の日々を綴っています

ある紳士のお言葉

先週の土曜日、私は例の如く実業団柔道部へ出稽古に行く、いつものように柔軟から始まり打ち込みを行い、立ち技乱取をこなす、そして寝技乱取りが始まるまでの束の間の休憩、そこで私と同じく練習に参加していた齢70ほどの紳士に呼び止められた。

「お久しぶりです」と紳士が言うと私はどこかでお会いしただろうかと疑問に思いつつも「お久しぶりです」こう返した。

すかさず紳士が「君は背が伸んだし体格もよくなったね」というと私は合点が行き「ありがとうございます」と言った。

そういえばこの紳士は私が高校時代にこの実業団柔道部の練習で共に汗を流したお方だった。髪も背も伸び挙げ句の果てに丸々と太った私を見て一瞬で高校時代の坊主頭で痩せ型だった私と認識していたのだ。

久々の再会に多少の感動を覚えていると紳士はこう切り出した「自分を大切にしなさいよ」何の脈絡も無しにこう言われるものだから思わず私は呆気にとられてしまった。続いて紳士は呆気にとられている私をよそに「君は未来の日本を担うのだから」私の頭は既にちんぷんかんぷん、私を誰かと勘違いしているのではないか?とまで思った

しかし次の言葉で私はハッとした

「自分を甘やかさないで、遊びすぎないで、常に鍛えなさい、鍛えすぎはダメだけど。」こう紳士が微笑み私は今までの怠惰さを恥じた。何事も常に継続する事で意味を成すということを伝えたかったのだろうか

「自分を大切に」というのはもっと自分と向き合い自分を文字通り大切にすることで何かが変わるのではないだろうか

なんにせよこの紳士の前では何もかもが見透かされたような気分になった。例えるなら全面ガラス張りの家で生活しているような気分になった。

こう考えているうちに「将来日本を担う人に会えて嬉しい、握手させてくれ」といい私に手を差し伸べてきた、握手したいのは私です、紳士。

ただ普通の学生に可能性を感じてくださることがなんだか嬉しかった

あ、もう休憩が終わる、乱取りに行かなくちゃ。